このニュースを聞いた瞬間、私は思わず考えた。
「月が爆発するかもしれない。そうなったら、どこへ避難すればいいのだろう」
地震なら避難所がある。台風や大雨なら、安全な建物や高台へ逃げることができる。しかし、月
そのものが壊れるような事態になったら、地球上のどこにも完全に安全な避難場所はないだろう。
地下深くへ逃げるのか。それとも宇宙船に乗るのか――。考えてみたが、私たち一般人が実行で
きる対策は思いつかなかった。
だが、ニュースを詳しく読むと、月が爆発するような事故ではなかった。月面に落下したのは
Falcon 9ロケットの上段部分で、できたクレーターは幅約18メートル、深さ3メートル未満だった
という。
バスケットコートほどの大きさと聞けば驚くが、巨大な月全体から見れば、針先でつけたような
小さな傷である。月が割れたり、軌道が変わったりする心配はない。
「避難場所がない」と真剣に考えた自分に少し苦笑した。しかし同時に、人間は月にまで人工物
を衝突させる時代になったのだとも感じた。
月が爆発する心配はなくても、役目を終えたロケットや人工衛星を、最後にどのように処理する
のかという問題は残る。宇宙開発が進むほど、宇宙にも交通ルールや環境保護の考え方が必要
になるのではないだろうか。
今回、本当に考えるべきなのは「月からどう逃げるか」ではない。
「人間は月や宇宙を、これからどのように利用し、守っていくのか」という問題なのだと思う。
核兵器搭載ミサイルなら、
核兵器を搭載したミサイルが月面で爆発しても、月そのものが爆発したり、真っ二つに割れた
りすることはありません。地球で避難する必要も基本的にはない
月には大気がほとんどないため、地球の核爆発で見られる巨大な爆風やキノコ雲は生じません
。しかし爆発地点では、強烈な光・熱・放射線が発生し、月の岩石が溶けたり蒸発したりして、
新しいクレーターができます。周辺の月面施設や宇宙飛行士がいれば、極めて危険です。
仮に史上最大級の核兵器を爆発させても、そのエネルギーは月を破壊するのに必要なエネルギー
より桁違いに小さいものです。月の公転軌道や潮の満ち引きにも、測定が難しいほどわずかな影響
しか与えない。
注意すべき点は、放射性物質を含む月の砂や岩石が宇宙空間へ飛散することです。ただし、その
多くは月面へ落下するか、限られた範囲に広がります。大量の破片が地球に降り注ぎ、人類が避
難しなければならない事態になる可能性は、通常想定される核兵器では極めて低いと考えられます。
比較すると次のようになります。
むしろ大きな問題は、月の破壊ではなく、核兵器を宇宙へ持ち込むことで軍拡が始まる危険で
す。誤作動、打ち上げ失敗、国家間の誤解などによって、地球上で核戦争へ発展する政治的危
険のほうがはるかに深刻です。
つまり、恐れるべきなのは「月が爆発すること」ではなく、核兵器を宇宙へ持ち込む人間の
判断だといえます。
だが、巨大隕石が月や地球の衝突することもないとは言えない。当面対策もない。

